ひな祭りの起源は神道・陰陽道・道教MIX
本日3月3日はひな祭りです。
女の子のお祭り「ひな祭り」は、本来どういうものなのでしょう。
■ひな祭という行事
女の子の健やかな成長を願って、以下のような行事が行われます。
・3月3日 桃の節句に行われる
・お雛様を飾る
・ハマグリ・ちらしずし・あられ・菱餅・白酒などを食する(飾る)
他にも地方によって吊るし雛のような特色ある行事がある、とても華やかな
お祭りです。
■3月3日 桃の節句
3月3日は「上巳(じょうし/じょうみ)」といって、古代中国の魏では、祓(はらえ)や
禊(みそぎ)を行い、穢れをはらう日でした。
日本では桃の咲く季節だったため桃の節句となりました。
桃は神仙思想や神道では、神聖な植物とされています。
神仙思想では、崑崙山に君臨する美しき仙女西王母が、長寿を願う前漢の武帝に
三千年に一度だけ実るという仙桃を与えたといわれ、
神道では、イザナギがゾンビと化した妻から逃げるときに桃を投げて
桃を食べてる間に逃げ切ることができたという話があります。
■ひな祭りは、もともと歌の会
日本でも魏の穢れを祓う文化にならい、奈良時代に天皇家の公式行事として
「上巳の節会(じょうし/じょうみのせちえ)」を行うようになりました。
このころは「曲水の宴(きょくせんのえん)」と言って、水の流れる庭園で水辺に人が並び
上流からお酒の入った盃が流れてくるまでに詩歌を詠み、盃のお酒を飲み、次へ送るという
風流なものでした。
■穢れを「水に流す」のはなぜなのか
穢れは禊ぎ祓う(みそぎはらう)もので、これは神道の考え方になります。
禊ぎ(みそぎ)は、「水そそぐ」が語源で、『古事記』で黄泉の国から戻った
イザナギが急流で身を清めたことに由来します。
神社でお祓いをしてもらう時に祝詞を読み上げてもらいますが、
祝詞では以下のようなプロセスで、穢れが祓われると述べられます。
「力強く速い流れを司る川の女神が大海原まで穢れを押し流し、
寒流暖流が渦を巻く荒海の女神が穢れを飲み込み、
命の吹き出す場所に住まう神が根の国(あの世)へ穢れをびょうと吹き放ち
根の国に住まう女神がどこか遠く、遠くへ持っていけば、
ありとあらゆる罪穢れは 祓い清められるのです。」
現代でも、「(過去の悪事)は水に流して仲直りしましょう。」や
汚職の政治家が「禊(みそぎ)は終えた!」などという使い方で残っていますね。
ちなみに、これは悪事を働いたり汚職した本人が言うべきセリフではないのですが、
だいたい本人が言い放つケースが多い気がするので、
今も昔も、穢れを祓うというのは難度の高い作業なのでしょう。。。
■おひなさまとは何か 1
奈良時代には川べりで歌を詠んでお酒を飲み、穢れを水に流す文化に、
いつから人形の要素が入るようになってきたのでしょうか。
平安時代に空前のブームを迎えた陰陽道の影響です。
陰陽道では人の形に切り抜いた紙に名前を書き、息を吹きかけてその人本人に見立てるという
考え方があります。
穢れを祓う際には、紙の人形(ひとがた)に自分の穢れを移し、
燃やしたり流したりすることで穢れを祓っていました。
3月3日は水辺で穢れを落とす行事ですから、紙の人形を川に流す形式ができあがりました。
平安時代には「にんぎょう」ではなく紙の「ひとがた」でした。
■おひなさまとは何か 2
「ひとがた」はいつから「お雛様」になったのでしょうか。
諸説ありますが、平安時代の子女がおままごとのようにして遊んでいた
お人形が原型ではないかと言われています。
江戸時代頃まで時代が下ると、武家や商家などにも上巳の節句の文化が広がり、
女性の厄災の身代わり=一生もの=嫁入り道具などとして広まったものと思われます。
バレンタインと同じく、お人形屋さんの商売戦略があったのでしょうか。
現在でも、日本に限らず「お人形には魂が宿る」という考え方は違和感なく引き継がれています。
リアルなお人形ほど動きだしそうな、そんな予感がしますよね。
■ひな祭りで食べるものの意味
ひな祭りにはおめでたいものを色々食べますがこれにも諸説あります。
お酒はそもそも神への供え物で、邪気払いの意味があります。
あられと菱餅は、紅白緑に色をつけ、邪気払いの桃、穢れのない白、邪気払いのヨモギ色だと
言われます。実際に赤クコや菱、ヨモギやハハコグサなどの薬草を混ぜたりもしました。
ハマグリは、貝合わせという遊びがあったようにその一対の貝以外に合う貝がないため
夫婦円満を表します。
その他、ハマグリ、ヒナ、ひし形、菱(繁殖力が強い)白酒に性的な意味を持たせ
子孫繁栄を願ったという説もあります。
「女の子の祭り」は思ったよりもアダルトです。
現代よりもずっと女の子の成長と子孫繁栄が直結していたんですね~。
ご高覧、感謝します☆