JASRACと契約するメリット・デメリット


ブームは過ぎましたが、ボカロをご存知ですか。

ヤマハが作った音声合成技術で、「初音ミク」というバーチャルの女の子の姿を

与えることで爆発的に知名度を上げました。

「ボカロP(ピー)」とよばれる人たちが現れ、

一部はメジャーデビューを果たしました。

プロの音楽業界への進出も比較的、垣根が低くなってきたのではないでしょうか。

作詞・作曲をする方のためにJASRACと契約する

メリットとデメリットを考えたいと思います。

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□ 歌手とJASRACは関係ない

最初に混乱するのが、「音楽」と「楽曲」が違うということです。

「音楽」は一般的に歌手と作詞と作曲で構成され、

「楽曲」は作詞と作曲で構成されたものです。

これは全く別のもので、歌手と作詞家・作曲家の権利は全く異なるのです。

では、歌手について簡単に説明しましょう。

歌手の「歌う」という仕事は著作権法上は「実演」という項目に分けられ、

著作隣接権により権利が定められています。

歌手は著作権を対象とするJASRACとは関係ありません。

JASRACが対象とするのは著作物、つまり曲と詞(ない場合もある)で

構成される「楽曲」です。

歌手は著作物を、大衆に伝達する存在です。

ただ、その伝達方法には個性や創意工夫があるので

著作隣接権で保護されます。

歌手は、CD・ライブ・TV出演・ラジオなどその伝達の種類の分だけ

収入を得ることができるのです。

ちなみに本人の声が入らないカラオケは歌手には収入となりません。

(MVが同時に見られるようになっていれば、歌手にも収入となります。)

□ 音楽で収入を得るということ 作詞家・作曲家編

「楽曲」(曲と詞のみ)の権利は、作詞家と作曲家のみが持っています。
(インストであれば、100%作曲家が持っています。)

自分が作った音楽がどこかで使用された場合、その使用料が収入となります。

自分で管理することもできますが、著作権のことだけでなく

使用料の相場や音楽業界ルールを知らないと、曲を使ってもらえる場所が

なくなり、生きていけるほどの収入を得ることは難しくなります。

JASRACのHPには「著作権はご自身で管理することができます。」と

ありますが、初心者にはまず無理です。断言できます。

できるけど、現実的じゃない。

この書き方、お役所仕事ってやつですね。

音楽で収入を得ている作詞家作曲家の大半は、音楽出版社という会社と契約をします。

この音楽出版社は、楽曲のプロモーション(営業)や権利の管理をしてくれます。

音楽は、使ってもらって、名前を覚えてもらって、認知度が上がって、というのが大事です。

様々な場所で使ってもらえないと認知度が上がらず、売り上げにならないのです。

それを引き受けてくれるのが音楽出版社です。

(新曲などは、歌手側のレコード会社の方が断然熱心に営業しますが。)

例えば、昔のヒットソングをカバーしませんか、と営業してくれ、成立すれば

音楽出版社が権利の処理や事務手続きなどをすべて対応してくれ、権利の使用料を回収して

契約している作詞家作曲家に分配してくれるのです。

□ JASRACと契約するメリット

しかし、この音楽出版社は大きな規模の組織ではありません。1会社です。

海外でも、日本全国でも、地方でも、個人経営もありとあらゆる場所で使用される音楽の

使用料を全て回収することができるのでしょうか。

不可能です。

日常生活を思い出しても、音楽が聞こえない日はないでしょう。

TV・ラジオ・ライブ・BGM・CD・DVD・イベント・カラオケ…

音楽が使われる種目を数千個に分けて管理し、人海戦術で個人店にもチェックを入れ

使用料を回収しているのがJASRACなのです。

なので、ほとんどの作詞家・作曲家・音楽出版社はJASRACと契約を結び、

著作権管理を委託することで、海外・全国でありとあらゆる方法で使用された音楽の

使用料を回収してもらっているのです。

これが、一番現実的で簡単な方法です。

音楽出版社と契約すれば、その辺の手続きなど全部教えてもらえるはずです。

jasrac4
JASRAC HPより

□JASRACと契約するデメリット

個人や1会社では実現できない、圧倒的は回収率で

楽曲の使用料を徴収し、権利者へ分配してくれるJASRACは

作詞家・作曲家には便利な存在に思えます。

では、どんなデメリットがあるのでしょうか。

先ほど、JASRACに「著作権を委託する」と述べました。

つまり、自分の手から著作権の使用に関する自由度が奪われるのです。

JASRACの契約の形態は、その作曲家(作詞家)本人が作った曲は

過去のものも未来のものもすべて「JASRAC管理」という形になります。

だからJASRACと契約してしまうと、シンガーソングライター本人がライブで

自分の歌を歌う場合でも、JASRACに申請して使用料を支払わなくてはいけません。

最終的には数%の手数料を引かれた後に、シンガーソングライターの収入として

返ってきますが、本人にとっては手続きも手数料も無駄になってしまいます。

また、仲のいい歌手仲間などに著作権フリーの曲を作ってあげるよ、となった時も

JASRACと契約していると歌手仲間がその曲を使用するたびに使用料が

発生してしまいます。

JASRACと契約していない新しい筆名で曲を提供するという方法もありますが、

その新しいPNが本人と分かると契約違反になるし、歌手仲間にとっても別名だったら

話題性もなくて意味がなくなるでしょう。

□JASRACと契約しない方法

現在は、JASRAC以外にも、音楽著作権を管理してくれる団体があります。

イーライセンスやJRCがありますが、

JASRACよりは、音楽を使用したい人(学生から音楽業界人まで)と

音楽を使ってほしい人(作詞家・作曲家・音楽出版社)が使用料や使用方法について

交渉ができるなどのメリットがあります。

ただし、「演奏放送」という使用方法に関してだけはJASRACが占めています。

JASRACが独占しているのかというと、物理的な面もあり

演奏(コンサートやライブ)は日本全国の小さなライブハウスなどでも実施されており

その把握ができるのが、全国に支社をもつJASRACしか現在は対応できないのです。

また放送も、現在はJASRACのみが徴収するしくみを持っています。

この放送使用料の徴収の方法が雑すぎて、JASRACと契約している

作曲家・作詞家にはと~~っても評判が悪いです。

完全なるどんぶり勘定で、使用料の徴収漏れがたくさんあります。

とはいえ、仕方がないので演奏放送はJASRAC、

WEB・インタラクティブ・CMはイーライセンスなどと

権利を分割して別の団体に委託する方法もあります。

演奏・放送といった使用に縁がない場合は、イーライセンスやJRCに預けることも

可能ですが、管理手数料をとられるという仕組みには変わりがありません。

□JASRACに預けないという選択

管理手数料も取られたくないし、自由に使いたい場合、他にも方法があります。

印税収入で生きていくという方法から外れることにはなりますが、

音プロ(オトプロ、オンプロ)と呼ばれる会社に入ることです。

CMなどでCMソングやCMの雰囲気に合った音楽が使われていることが

あると思いますが、そういった音楽を作っているのが音プロです。

JASRACと契約をしているわけではないので、単価いくらで仕事を請け負い

音楽を仕上げてくれます。

音プロでなら、会社員としてお給料をもらいながら音楽を作ることができます。

□おわり

ここに書いてあることは、一番多いと思われるパターンを大枠のみで話しているので、

説明が足りていないことも、ケースバイケースでやり方や考え方が異なる場合があります。

またJASRACについては非難も多く、JASRACの人たちも自覚があるみたいなので

改革を進めようとしていたり、イーライセンスやJRCがJASRACに対抗すべく

色々と変革を開始しています。

作詞家・作曲家として収入を得るためにはJASRACと信託契約を結ぶのが

一番確実に、使用料を回収する方法ではあるもののメリットデメリットがあるので

作詞家作曲家を目指すなら、こういった音楽業界をとりまくルールみたいなことも

調査することをお勧めします。

ご高覧に感謝します☆

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