「仕事は見て盗め」は古い?
大人気ドラマ「TRICK」で阿部寛が演じる上田次郎が、「通信教育で空手を習得した!」
と叫ぶシーンがある。
もちろん、通信教育と空手の親和性のなさに笑うところなのだけど、
Facebookに上がってきたある記事を読んでいて、もはや笑いどころじゃなくなっているかもしれないと思いました。
□「そば打ち3年こね8年」「仕事は見て盗め」は古い?
こんな記事を見つけました。
「そば打ち3年こね8年」「仕事は見て盗め」という考え方について
以下のような意見が述べられています。
・教えないから11年もかかるのだ
・教えるのが下手な奴の言い訳
・見て盗めという非効率的な考えだから伝統芸含めて廃れるのだ
・下働きさせる口実だ
対して、「マニュアルがあれば素人でもできると思っている程度のものに
お金を払えるのか。」などの反論も少数あって、結構おもしろい。
個人的には、一般企業でのシステマチックな仕事や作業については
マニュアル化して、どんな人でも理解でき、作業できるようにすべきだと思うのです。
接客マニュアルとか、緊急時の対応とか、そういうのは大事です。
けれどそば打ちや伝統工芸・伝統芸等の「見て盗め」と言われるものについては
それなりの理由があるとも思うのです。
□通信教育で武道を習得できる!?
できません。
断言できます。絶対にできません。
合気道を10年以上やっていますが、繰り返し繰り返しやってきたはずの技でも
数か月毎に、数週間ごとに新しい発見があります。
黒帯の熟練者がどんなに丁寧に身体の向きやコツを教えても、
決して、絶対に、初心者は黒帯の人と同じようには技がかからないのです。
技に対する理解の仕方や、コツのつかみ方、重要だと思うポイントなどは、
本当に人それぞれです。何度も稽古した上にやっと理解することができるコツもあります。
体格差や、身体の柔軟性、筋肉の付き方、全て違えば言葉だけで伝えることはできません。
そば打ちや、「見て盗め」だって同じことです。
言葉では伝わらないから、できないことに気が付いて、工夫してできないことを補って
試行錯誤する楽しさや、信念みたいなものを育てていくのが、『習得』することだと思うのです。
□おわり
ネットって、自分とはすれ違わないであろう人たちの声も、参照することができて面白いです。
まぁ、通信教育で習う空手があるのなら、
それはそれで真剣にやれば、試行錯誤の末に自分だけの新しい発見があるのカモ。
でも、実際教えてもらった方が、理論を体感できるから楽しいと思うんですが。
上田次郎の「私は通信教育で空手を修めた!」は当時、本当に衝撃的だったんだけど
今はもう笑えないのか~・・・(-_-)
ご高覧に感謝します☆