言葉を凝縮させて 相手に伝える
私はふとした会話の中で「あ。今の発言いらなかった。」と
自省することがよくあります。
結婚式や卒業式で長くてつまらない話をし始めるおじさんや、
やたら話が長い相手には、みんな思うはずです。
「結局、何が言いたいの?」
□俳句・短歌・和歌のすごいところ
短歌や俳句は、ほんの限られた文字数の中にイメージやメッセージを込めます。
余分な言葉を削ぎ取って 丁寧に選ばれた言葉が
ノンストップでしゃべり続ける壇上のおじさんより、深い感動を与えてくれます。
想像してみてください。
貴女は、本ばっかり読んで国を憂いてあーだこーだ言ってる文学青年に
片想いをしています。
でも朴念仁な文学青年は、本や仲間との語らいに夢中で貴女の想いに気が付きません。
そんな朴念仁に想いを告げてください。
□柔肌の熱き血潮に触れもみで 寂しからずや道を説く君
有名な与謝野晶子の短歌です。
誘いかける露骨な雰囲気を漂わせながらも、下品ではない抑えたエロティズム。
「道を説く君」という、想われていることに全然気が付いていなさそうな男性。
たぶん、大胆に言い切ってみたものの「君」との距離は遠くて、陰から見ているだけ。
大胆さと現実の対比や、
柔肌に触れられないもどかしさや、気が付かれないもどかしさ、
寂しいのは「君」なのか「自分」なのか。
このたった31文字のなかに、これだけ見事に状況と情念と感情を詰め込んだ
惚れ惚れとする短歌です。
□芸術は共感だ!
と思います。素人考えですが。
特に詩(俳句・短歌・和歌・歌詞)はわかりやすくて
共感できるものほど人気があります。
リツイートを集めているつぶやきって、笑えたり、納得したり、驚いたり
何かしらの「共感」の結果だと思いませんか。
詩は一方的ですが、
会話にも同じことが言えると思います。
もちろん、詩のように推敲を重ねていくことは難しいことですが
スピーチや、自己紹介の時は
言葉を削り、選び、構成を考えることができます。
短い言葉で、相手の共感を得て、印象に残る言葉をもつ。
日常会話はともかく、
就職の面接しかり、営業もしかり、人の印象に残るために
多くを語るより、質を上げるのも一つの手段だと思います。
清水へ祇園をよぎる桜月夜 こよひ逢ふ人みなうつくしき
さいごに。
これも有名な与謝野晶子の短歌です。
与謝野晶子は 静かながらに情感あふれる言葉を使う人です。
この短歌は、祇園も桜月夜も何もかも美しいんですが、
花見に行った先で、すれ違う人すれ違う人、みんなが桜を見上げて
桜を愛でている姿を「うつくし」と表現した与謝野晶子が好きだなと思って
この季節、この短歌を紹介した次第です。
結婚式のおじさん。文章ってなんで長くなるんだろうね~?(共感)
ご高覧に感謝します☆